【弁護士監修】相談事例③妻が認知症に…!認知症に備えて家族信託を使ってみたい

この記事の監修者:弁護士 馬場龍行

【所属事務所】弁護士法人えそら(第一東京弁護士会)

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相談者:正さんの相談

<登場人物>

相談者(仮名):正(ただし)72歳

妻(仮名):百合(ゆり)74歳

息子(仮名):章一(しょういち)46歳

ご相談させてください。最近、妻が認知症と判断されました。きっかけは、長年家族として寄り添ってくれていた愛犬が死んでしまったことだと思います。

愛犬が死んでから、社交的だった妻は、引きこもりがちになり、また料理や洗濯、掃除などほぼしなくなりました。

家族の中で一番かわいがっていたのが妻だったので、よほどショックだったのだなと思い、代わりに家事をしていたのですが、半年以上も気落ち状態なのは、どうもおかしいと感じ、病院へ連れていきました。

すると、中程度の認知症であると診断されました。

生活費等については、もともと私の口座で管理していたので、それほど問題はないのですが、私が認知症になったり、病気になったりした時、妻のことが心配です。

この前、新聞を読んでいたところ、家族信託という制度があることを知りました。

そこで3つほど疑問があります。

 

①家族信託を利用するにあたって、息子に財産管理をお願いしたいのですが、口頭だけでなく、きちんと契約書を作成しておいた方がいいのでしょうか?

 

②私はまだ身体は元気なのですが、今からでも自分の財産を息子に管理してもらうことはできるのでしょうか?

 

③自分が妻を残して死んでしまった場合、私の財産を妻の介護費用や生活費等に充ててほしいのですが可能でしょうか?

色々質問してしまい、申し訳ございませんが、ご教示いただけると幸いです。

 

弁護士の見解は…?

今回頂いた3つの質問は、以下のような答えとなります。

  • 信託契約はきちんと書面にして結んだ方が良い
  • 家族信託は元気なうちから利用できる
  • 契約に盛り込んでおけば可能

それぞれどういうことなのか、具体的に説明させていただきたいと思います。

信託契約はきちんと書面にして結んだ方が良い

家族信託の契約は財産をご自身の財産を委託する重要な契約なので、きちんと書面にしておいた方が良いです。

確かに、家族信託の契約は、財産を委託するひと(以下委託者)と財産を委託されるひと(以下受託者)の合意があれば、口頭でも信託契約を成立します。

信託契約を書面にしなければならないといった明確なルールはありません。

しかし、家族信託は、契約を結ぶひとによって、契約内容がさまざま変わってきます。

委託した財産を、受託者が委託者の希望通りに運用してもらいたいのであれば、契約書を作成するべきです。

また、契約中のトラブルを未然に防ぐためにも、信託契約を公正証書にしておくことをおすすめします。

家族信託の契約は、必ずしも公正証書の効力が必要になることはありません。

しかし、委託財産に不動産が含まれていたり、高額だったりした場合、将来的に金銭トラブルが起きる確率がゼロとは言い切れません。

契約を公正証書にしておくことによって、万が一トラブルが起きた場合、信頼のできる証拠となります。

また、公正証書を作成したこと自体が、契約違反の抑止力になる効果を見込めます。

したがって、今回の正さんのケースでも、契約を書面で結ぶべきですし、契約内容を公正証書にしておいた方が良いでしょう。

家族信託は元気なうちから利用できる

家族信託は、成年後見とは異なり、委託者が元気なうちに開始することができます

成年後見の法定後見や任意後見は、被後見人等の判断能力が低下しないと、後見を開始することができませんが、家族信託にはそのような制限はありません。

ただし、すでに認知症を発症してい(※)は、基本的に家族信託の契約を結ぶことができないので注意が必要です。

※認知症等を発症しても、軽度で契約を結ぶに足る判断能力があるとされた場合には、家族信託を結べることもあります。

契約に盛り込んでおけば可能

家族信託の契約内容は、画一的ではなく、委託者の希望に沿い、ある程度自由にカスタマイズすることができます

正さんの場合、妻の百合さんを受益者(※)に指定し、ご自身が亡くなった後、望む対応を契約内容にしっかり盛り込んでおくことで、実現することができます。

成年後見制度は、被後見人等の本人のためになる範囲でしか財産管理を行えないので、委託財産を委託者以外のひとにも利益を分配できるのは、家族信託の大きな特徴と言って良いでしょう。

※受益者とは受託者が行う信託行為によって得た利益を受け取ることのできる権利があるひとのことを言います。

 

家族信託の利用を検討するなら、弁護士に相談してみよう

家族信託は、信託契約を結ぶ人の望むことによって、契約内容が大きく異なります。

委託者の希望によっては、契約が複雑になるケースもあるので、家族信託を利用したいとお考えの方は、弁護士等の専門家に相談することを強くおすすめします!

→家族信託についてもっと知りたい方は、家族信託とは?の記事もご覧ください。

この記事を監修した弁護士は…

 

【事務所】弁護士法人えそら
【弁護士】馬場 龍行
【所属】第一東京弁護士会所属
【一言】弁護士法人えそらは、お客様の理想を実現するため、日々精進しています。相続では家族信託を中心に承っておりますので、お困りの際はお気軽にご相談ください。
弁護士法人えそらのことをもっと知りたい方はこちらもご参考ください。
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